相続税

相続税は、

相続によって財産を取得したすべての人に課税されるものではありません。

課税の対象は、相続財産をある一定額以上相続した場合のみ発生することになります。

また課税の計算の際、相続人の関係性、現在の状況によって税額控除が適用されることもあります。
相続税の前に『相続』について、分かりやすく解説します。

相続とは?

相続とは、亡くなった人の配偶者や子などが遺産を引き継ぐこと。

相続人とは、遺産を引き継ぐ者。そして被相続人とは、亡くなった人のことをいいます。

相続をする
そもそも相続はいつから始まるものなのでしょうか?

相続は人が亡くなることによって始まります。
一般的には、戸籍に記載された死亡日が死亡のときと推定されるので、死亡日が相続がスタートする日です。

このスタート日は、後々重要となりますので、正確に覚えておいた方が良いでしょう。
また節税が可能なそれぞれの特例などは、期日が決まっているため、ゆっくりして提出日が過ぎてしまった、ということがないように注意が必要です。

相続人は、相続が始まったときから、亡くなった人が残した財産や債務の一切を承継します。

相続できる人が決まるまで

「誰が相続人か?」と言い争いを避けるために、
法律で「相続できる人」が定められています。

この相続できる相続人のことを、民法では「法定相続人」と呼びます。

法定相続人は、大きく分類して2種類。配偶者(婚姻の相手)と血族相続人に分けられます。

法定相続人種類
配偶者配偶者たる相続人
血族相続人
父母、祖父母血族相続人
兄弟姉妹血族相続人

最初に、被相続人の配偶者は、常に相続人になれます。
そして婚姻の期間は関係なく、例えば結婚して1カ月後に被相続人が亡くなったとしても、相続人となることができます。

配偶者の他に相続人となるべき人がいない場合、配偶者だけが相続人となります。

被相続人(過去に離婚経験あり)の元配偶者は、相続人となることができません。
ただ元配偶者との間に子供がいた場合、子供は相続人になります。

また配偶者とは、民法で決められた被相続人の夫や妻であって、内縁の夫や妻(愛人)は該当から外れます。

法定相続人になれる”順位”が、血族相続人には決められています。

第1順位直系卑属(子・子の代襲相続人〈孫〉)
第2順位直系尊属(父母・祖父母)
第3順位兄弟姉妹・兄弟姉妹の代襲相続人

子は、「嫡出子(ちゃくしゅつし)」と「非嫡出子」に分類されます。

「嫡出子」は、婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども(実子)と養子を指します。
「非嫡出子」とは、法律上の婚姻関係にない父母から生まれた子です

非嫡出子が相続人となるには、父子関係の場合、父親が認知した子供だけとなり、これは遺言によっても行えます。
一方、母子関係の場合、分娩したという事実を証明することが必要となります。

遺産相続の割合

遺産を相続できる割合は決まっています。

相続する割合のことを「相続分」といい、被相続人(亡くなった人)が遺言によって、相続分を決めていた場合、その内容に書かれた財産の割合が優先されます。

遺産を相続できる割合

遺言がない場合、相続人が集まって話し合い、分割方法を検討して決めることになります。
このとき、全員が合意すれば問題はすぐに解決するのですが、決まらない事の方が多いかもしれません。
そこで民法により、相続できる割合が決められています。

これを「法定相続分」と言い、これは以下のように定められています。

(1)第1順位の相続人

被相続人に、子あるいは子の代襲相続人(=孫)がいる場合。
なお、配偶者は、常に子と同じ順位での相続人です。

(2)第2順位の相続人

第1順位の相続人がいないとき( 親より子が先に亡くなった場合など)は、第2順位の相続人である直系尊属(父母・祖父母)と配偶者が相続人となります。

(3)第3順位の相続人

被相続人の両親が亡くなっていて、なおかつ兄弟がいるような場合(第1順位および第2順位の相続人がいないとき)は、第3順位の相続人である兄弟姉妹(またはその代襲相続人=おい、めい)と配偶者が相続人になります。

  相続順位 法定相続人 法定相続分
第1順位 配偶者と子 配偶者1/2 子1/2
第2順位 配偶者と直系尊属 配偶者2/3 直系尊属1/3
第3順位 配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

基本的に被相続人が遺言書で定めた指定相続分の方が、法定相続分よりも優先されます。

相続にはそれぞれの家庭によってさまざまな事情があります。
特定の相続に被相続人の介護の負担が偏っていたり、ある相続人だけが多額の生前贈与を受けていたりするケースも少なくありません。

相続税の仕組み

相続税は相続によって財産を取得したすべての人に課税されるものではありません。

課税の対象は、相続財産を一定額以上相続した場合のみとなります。
この一定額以下が「基礎控除額」となります。
要するにこの額までは税金がかからないという課税の最低額のことです。

基礎控除額の計算方法は、

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

という式で求められます。
この金額を超える財産を相続した場合、各相続人が相続した額に応じて税率が適用されます。

子どもの1人が相続放棄をすると、基礎控除額も1人分減るのか?

相続税のしくみ

「相続放棄をしなかったものとして法定相続人の数に含める」というのが正解です。
他の遺族が損をすることがないよう、配慮されているのです。

ただ、民法上の養子の数には限りはありませんが、相続税の場合は、限りがあります。
相続人のなかに養子縁組している子どもがいる場合、法定相続人は、

実子がいる場合 : 養子のうち1人までを法定相続人としてカウント

実子がいない場合 : 養子のうち2人までを法定相続人としてカウント

例えば、相続人に妻、2人の実子、2人の養子がいるときの基礎控除額を計算してみましょう。

妻+2人の実子+1人の養子で、法定相続人の数は4人となります。
(実子がいるので、2人の養子のうち1人しかカウントされません)

基礎控除以外の控除はないのでしょうか?

あります。 被相続人と相続人との関係や、相続人の現在の状況によって使える控除が7つほどあり、これを「税額控除」といいます。
以下にまとめましたので、自分のケースに当てはまりそうなものがないか見てみましょう。

相続税の税額控除:

贈与税額控除相続開始前3年以内に受けた贈与財産が、課税価格に加算された場合、その贈与財産にかかる贈与税を控除できる。
配偶者の税額軽減配偶者が相続した財産のうち、法定相続分または1億6000万円のどちらか多い方の金額までは税金がかからない。
未成年者控除相続人が未成年者の場合、未成年者が成人になるまでの年数に応じて、一定の税額が軽減される。
障害者控除相続人が障害者である場合、障害者が85歳になるまでの年数に応じて、一定税額が軽減される。
相次相続控除10年以内に2回以上の相続税を支払う相続があった場合、最初の相続から次の相続までの期間に応じ税額負担が軽減される。
外国税額控除外国の財産を相続し、その相続した外国の財産に外国の相続税が課税された場合、その外国の相続財産に課税された相続税が控除される。
相続時精算課税制度適用による贈与税額の控除相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から相続時精算課税制度における贈与税額を控除する。

相続税の納税について

相続税は基本的に、「現金一括納付」となります。

一括納付ができない場合は、「延納」という支払いの延期を許可してもらえる制度があります。
さらに延納が難しい場合、「物納」という有価証券や土地をそのまま国に納めることが認められています。

相続税の納税のしくみ

また相続財産の相場値上がりを期待した意図的な延納は、基本的には認められていません。

現金一括納付で支払った人と平等になるように、 延納という制度には、利子税がかかります。

物納は、財産の種類により認められる順位が設定されています。

第一順位は国債・地方債、第二順位は不動産・船舶、第三順位は社債・株式・投資信託、第四順位は動産です。
つまり、国債・地方債をもっているのに不動産で物納する、という順位を越えた形で納税することは許されていません。

生命保険も活用できますか?

活用できます。
納税上の大きなメリットとして、生命保険は被相続人が亡くなったとき、相続人にまとまったキャッシュが入ることです。

会社でも生命保険を契約すれば、会社は支払った保険料を経費にすることができます。
また納税対策として社長の側は、死亡保険金を死亡退職金や弔慰金に回したり、解約返戻金を役員退職金に回したりして活用が可能です。

その他にも活用方法はありますか?

株を売却する方法です。
もし会社に資金的な余裕があれば、自社株を相続した相続人が、その株を会社に売却して、その資金を納税にあてる方法です。

オーナー企業であれば、あまり問題ありません。
ただし、売却した代金に税金がかかる点や、他の株主にも平等に買い取りの機会を与えなければいけない点には注意が必要です。

評価額について

財産評価について詳しくは『財産評価基本通達』にありますが、ここでは主なものついてご紹介いたします。

1.不動産

評価方法は、路線価方式と倍率方式の2つあります。

路線価方式

宅地が面している道路(路線)に付されている価格に基づき、その宅地の評価額を算定する方式。
主として市街地で用いられ、道路には1平方メートルあたりの金額が付されていて、その金額に宅地の面積を乗じて算出します。

倍率方式

固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出する方式。路線価の付されている地域以外で使われます。
その土地が路線価地域なのか倍率地域なのか、路線価がいくらなのか、などは国税庁のホームページで見ることができます。
国税庁のホームページ→

2.自社株式

自社株式の相続税評価額がいくらであるか知る必要があります。
これを元に自社株式を相続する際の相続税を算出することができます。

自社株式の評価額が高い場合、なぜ高いかの原因を分析して、株価が下がる可能性を模索する必要があるでしょう。

株価が高い原因は主に2つあります。

ひとつは利益が経常的に高く、内部留保金額が大きい場合。
もうひとつは最近利益は上がっていないが、土地の含み益が大きい場合。

内部留保金額が大きい場合は、会社の資金で相続税が支払えることが多いため、あまり心配はありません。
問題は土地の含み益が大きい場合です。

3.生命保険金

相続税の対象となる生命保険金は、本来の相続財産ではありません。
経済的には相続財産と変わりがないために、相続財産とみなして相続税の課税対象とする、というものです。

法定相続人数×500万円までの保険金については相続税の非課税対象となります。

一時所得の対象となる生命保険金は、他の所得の計算よりも有利になっています。

一時所得の計算方法:( 保険金額 - 保険金の掛金額 - 50万円 )× 1 / 2

本来の所得となるべき金額から50万円を控除して、さらにその2分の1の金額が所得となります。

延納と物納

「相続税の納税について」で説明した通り、現金一括納付ができない場合、「延納」という支払いの延期を許可してもらいます。

さらに延納が厳しいという方は、「物納」で有価証券や土地を国に納める方法をとります。

ここでおさえるポイントとして、延納には、利子税がかかることです。
現金一括納付で支払った人と平等になるよう利子税がかかるようです。

また物納は、財産の種類によって認められる順位が次のように設けられています。

・第一順位 国債、地方債、不動産、船舶
・第二順位 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
・第三順位 動産

つまり、国債・地方債をもっているのに株式で物納する、という納税はできません。

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